十禅律院

粉河寺の境内とも言える場所に、粉河寺とは全く関係の無い十禅律院という天台宗のお寺があります。
紀州8代藩主重倫(しげのり)、その子の十代藩主治宝(はるとも)ゆかりのお寺で、築地門、本堂、護摩堂、庫裡、そして枯山水の庭園からなるお寺です。
庫裡は藩主着座の間を備える御殿造り風で、座敷から見る庭園は北方の和泉山脈の高峰成高山を背景に素晴らしい枯山水の庭園です。
土塀は古びて朽ち落ちているのですが趣のあるお寺でしたので拝観させて頂きました。
拝観料は200円という異例の安さです。
受付に出てくれた女性が座敷を案内してくださいました。おそらくお寺の奥様だとおもわれます。
その方曰く、このお寺は檀家が全くいませんので、あちこちが傷んで修復できない状態ですと説明してくださいました。
たしかに歩いていると床が揺れて大きな音を立てています。あちこちの天井は雨漏りで天井板がふやけて崩れています。まともなのは庭園だけという有様ですが趣があって癒されるお寺なのです。
このまま放置しておけば手の施しようがなくなります。

こんな歴史遺産は檀家がなくてもなんとかしなければいけないのではないかと心が痛みました。
自分には何にもできませんので少し多い目にお賽銭を納めてきました。
歴史遺産を大切にすることは、その地に人を呼び込み、結果的にはプラスになることですから市や県は手助けしてやってほしいですね。