人生は登り坂No23

 長い間学校を休んでいましたので、漢字が全く読めないのです。学校で国語の時間に指名を受けて教科書の朗読をさせられることがあります。
漢字が出てくると読めませんので黙ってしまいます。そうすると左右前後の友達が素早く教えてくれるという状態でした。
 中学3年の時に、数学と英語だけは高校入試を控えって、二クラスを一緒にして、A組とB組の二組に分けて,遅れている者は遅れている者だけを集めて勉強をしました。
 私達就職組の者は喧嘩をさせたら強いけれども、家で勉強をするというような環境ではありませんので、就職組はみんなB組に入れられていましたが、私だけはどちらもA組に入っていました。
英語や数学はよくできたのです。
 私は就職組ですから友達もどうしても就職組の連中になってしまいます。中学では悪餓鬼の全てが就職組でした。先生の言う事なんか聞きません。中学にもなると先生に喧嘩を吹っかけて行く者もいるという有様です。そんな連中ですから成績はよくありません。そんな友達ばかりでしたが、私は弱い者を苛めたり、喧嘩を売ったりというように人に迷惑をかけるのは嫌いな方ですから、授業中はおとなしく先生の講義を聞いていました。
そして方程式などの問題を考えることが好きな方ですから数学はよくわかっていました。
 ところが問題は国語と社会です。本は読まないし、暗記する勉強は性格的に根気がなくて苦手でしたから、漢字だけは全く読めないのです。これでは就職試験で困ると思いましたので、他の科目の時間でも机の下に国語の漢字の書き取りの参考書をおいて、漢字を覚える勉強をしました。
そしてそれまで読んだことのない小説を、漢字を覚えるために読みました。
 武者小路実篤などのわかりやすい小説を乱読しました。面白い興味の持てる本ですと読んでいますと
知らない漢字が出てきても感で読めて、文面からどういう意味かもわかりますのでそれで随分と漢字を覚えました。
私は同じ就職組でも英語と数学はA組でしたので就職担当の先生から神戸製鋼関西電力の試験を受けてはどうかと言われました。