人世は数式No6

 どんなものでも熱くなったものは、そのまま放置しておけば冷めるのは自然の法則です。
  人の心も同じです。好きや愛してると言って一緒になっても、一緒になってしまえば、自分の喜楽ばかりを優先させて、相手の心は顧みらない。そして恋愛感情が薄れてきても、それを補う追い焚きもしない。それが一般的な夫婦ですから、愛によって喜楽を求めても虚しくなるばかりです。
男女愛では希望がもてないから、それではと子供の養育に喜楽を求めて行く人も少なくありません。
 親は子供に対しては一切計算無しに慈しみますが、子供の方は親に対してキッチリ計算してきます。
 財産のある家では、早く死んだらいいのにと考えるひどい子供も少なくありません。
 またどんな動物でも親離れをして育って行きます。それはすべての動物の習性で、人間も例外ではありません。

巣立って行って自分の核をもてば、親よりもそちらを大切にするのが当たり前です。
それが自然なのですが、そのように割り切れない親がいます。
これは現実の話です。東京の大学に行きたいというから、経済的にしんどかったのですが、自分がパートに出て頑張って行かせました。卒業して東京の企業に就職しました。東京の娘さんと結婚をしました。私は騙されましたという御婦人がいます。それだけ自分の人生の喜楽を子供に託していたのです。馬鹿馬鹿しい話です。子供は親から巣立って行くのは当たり前です。

 子供に愛情を注ぐことは当然のことで、親自身の喜楽の一つとして子供を慈しめばいいのですが、親は見返りを求めてはいけないのです。
 自分の子供といえども子供の頼ることは他力です。

他力に依存しないで、自力で自身の人生の喜楽を得る手段を講じなければいけないのです。もしよくしてくれる親孝行な子供がいたとすれば、それは付録の喜びとして受け止める理解が必要ではないでしょうか。