人世は数式No5

 あんなに愛し合って一緒に成ったのに何故冷めてしまうのか。人は「慣れる」「飽きる」「忘れる」という性を有しているからです。
 人生に於いてどんなに悲しい出来事に遭遇しても、忘れる、慣れる、飽きるという性があるから人間は生きていけます。
そういう本能を有していることはありがたいことですが、その性は夫婦間の愛情にも影響を及ぼします。
 当初は本性を覆い隠して付き合っていたのに、結婚をすると初心を忘れてお互いに醜い部分をさらけ出し合い、自己主張を強めて行きます。次第に現実面が席捲してきて、そのうちにときめきを感じなくなってしまいます。
 こういう現象は、個々の情愛の深さというものに全く関係ありません。どんなに強く愛し合っていても、多少の早い遅いはあっても必ずそうなります。これは神が定めたことだから仕方がないのです。
 若い人は「そんなん信じられへん。私は絶対にそうはならへん」と断言します。、それが若さのいいところであり、青いと言われる所以でもあります。
 人の心というものはそういうものであると理解していれば、恋愛感情は薄れてもそれを補って夫婦仲良く生活していくことは可能です。
恋愛感情は必ず冷めます。冷めて来れば風呂の湯の如く、思い遣りや気遣いや労わりという熱気で追い焚きをしなければいけないのです。夫婦が何時までも仲良くするには追い焚きを欠かしてはいけないのですが、それをしないで自己主張ばかりが強くなって行くのが一般的です。当然のことながら
二人の仲も自然と冷めてしまいます。。
 何時までも温かいお湯で気持ちよい入浴をしたければ、心配りという追い焚きをしなければいけません。追い焚きの大切さを悟った者にだけ、神様は大きな喜楽を与えてくれるのです。
 昔から親子は一世、夫婦は二世と言います。年老いて自分を支えてくれるものは連れ合いしかいません。 

夫婦の絆はそれほど強いものなのですから、配偶者を誰よりも大切にしなければいけないのですが、そのことを分かっていても、すでにひびが入ってしまって修復が困難な人が多いというのが現実です。