損な人

長年着付をやっていますと色々の人に出会います。
着付を始めますと家の事情で着付をする場に鏡がないものですから、長襦袢を着付ますと「チョット待ってください」といって鏡のある場所まで行って出来具合を見分に行きます。
次に裾合わせをすると、着丈の長さや、裾合わせの感じを「ちょっと待って」と言って見分に行きます。次に衿合わせをすると衿合わせの加減を見分に行きます。
私の我慢もここまででした。
 「あのね奥さん。あなたがこの店は美味しいのではないかと思って、食堂に入って注文をして食べたとします。ところが腹の立つほど不味かった。不味かっても自分で選択して入ったお店ですからお金を払って帰って来なければ仕方がないでしょう」「美味い不味い、下手上手の結果がはっきりしてから、ここは駄目だと思えば二度とそこには行かなければいいのです。」「それしか仕方がないでしょう」「着付も同じですよ。たとえば私たちが下手だったとしても、自分では出来ないから頼んだのですから、あとはこちら任せにするしか仕方がないでしょう」「人間はどんなものに対しても覚悟、又はそんなに大げさなものでなくても、それに近い割り切りは大切ではないですか」「着付の最中にそんなに動かれては仕事になりません」「このまま私が怒って帰れば、あなたは着付ができないで困るでしょうから,今日は仕方がないから着せますが、二度と発注しないでください。」と言って着付代はもらわずに帰ってきました。
これは現実の話です。覚悟のない人は損ですね。
現実にはプロと言ってもいい加減な人は沢山います。だからお客さんも疑心暗鬼で疑いにかかるのでしょうね。
「私はできないから頼みました。頼んだのですから黙って任せていましたが、あなたの仕事ぶりを見ていますと、プロらしくないから二度とは頼みません」と直接言うべきです。
お金を頂いているいるプロはどんなに言われても甘んじて受けなければ仕方がないのですから、お客は遠慮なく言うべきです。厳しく批判をして選別していくことが、お客がプロを育てていくことになり、世の中をよくしていくのです。
言うべきこと、取るべき方向が違っている人が多いのです。
そしてプロはプロらしくもっと腕を磨かなけれいけません。特に着付の場合は「その程度で厚かましくもよくやるなぁー」という人が沢山います。