着る機会のある人は勉強して


 昨日は暑いですが着付の仕事がありました。
実に親切で応対が丁寧で、お任せしましたという気持ちが伝わってきて、着付がしやすかったです。
ご丁寧に花や野菜まで下さってその優しさを有難く感じながら、今迄に色々な人がいたなと、ふと昔のことを思い出しました。
 着付人生約半世紀ですから昔といってもおかしくないでしょう。

 私は着付に伺ってお会いした瞬間に、この方のお顔はこういう顔立ちで、体型はこうだからこういう補正をして、ここの部分のシルエットが出ないようにしてあげなければ、綺麗な着付にはならないということは瞬時に分かります。
 体型は削ることはできませんので、逆に入れることによって見せたくない部分を目立たなくするのです。
入れたことによって、見せたくない部分が目立たなくなり、入れたことによってかえってスマートに見えます。
 そういうことを瞬時に見極めて、その判断に則って仕事をして、結果として喜んで頂ける仕事がしたいのです。仕事はお金さえ頂ければよいというものではありません。

 着物を着るときに必要な、きもの、襦袢、帯以外の物は小物というのですが、その小物が着ていて楽な着付をするには不十分な人が沢山いらっしゃいます。
 荷造りをする時のビニールの紐があります。私はそれを使っても綺麗に着せます。
出来上がりは腕前ですから綺麗に着付はできますが、着付は美しく綺麗な出来上がりにするだけでなく、着ていて楽である。そして家に帰って来ても出掛ける前となんら変わらない、着崩れのない着付をすることが大切です。そのためには各自がきちっとした小物を準備しておくことが大切です。
 私は着付に行くときは足りないものがあればいけないので、小物は持参していきますが、こちらのほうがいいですよと言いますと、売りつけるような感じに取られます。それでは人間関係が損なわれますので、皆さんがお持ちの物を使って仕事をこなしますが、きちっとした小物を準備されていればもっと楽に着れるのになぁーと感じてしまう人が多いのです。
 現在は洋服中心の時代で、きものを着ないという人が多くなってきています。全く着なければわざわざそんなことする必要がありませんが、着る機会が少ないけれども着るという人は、自分が楽に着るために少しは勉強をして頂きたいなぁーと何時もおもいます。
 さまざまなきもの学院があって、大半のところでは運営費捻出のためにオリジナルの小物を制作して売っています。売っている限りは、その小物を美化する必要があるので、色々と能書きを説明して使わせています。
 私は学院長をしていた時からそういうやり方に疑問をもっていましたので、そういう商業的意図が全くなく、どういう小物を使えばベストかをホームページで説明をしていますので、着ることのある人は時には開いて勉強して頂ければ幸いです。
「着付名人」で検索していただければ開きます。