黄昏

日が傾き初めると帯状に海面を輝かせ、西に向かっているものをより一層光らせる。
やや赤みをました光線は夏でも暑さを感じさせずに柔らかい。
やがて日が沈み黄昏となる。黄昏時はなぜかノスタルジアを感じる。
子供の頃暗くなるまで遊んでいて、母が「ご飯やで」と呼びに来てくれるその姿と重なるからかもしれない。
勤めに出ていると黄昏時に仕事から解放されて帰れるときは何とも幸せな気持ちになる。
そんな時間に帰れるときは軽く一杯飲みに行くか、必ずデートをしていたからだ。
秋元順子の歌に「黄昏Love again」という曲がある。

黄昏た風景は 淋しげな 優しさがある 窓ガラスにともる灯りには
誰かを待つ 温もりがある

花岡優平の詠う風景は誰もが感じたことである。
黄昏の風に吹かれれば誰もが優しくなり、恋をしたくなり愛を求める。
今も妻と黄昏時の素晴らしさを語り合いながら、互いの若き日の思い出に浸って暫し沈黙する。
沈黙は若き日の物語があったことを証している。