映画「幸せのきずな」


 この物語は車のワイパーを発明したロバートウイリアムス・カーンの物語です。
カーンは博士号を取得した発明家であり大学の教授です。
妻と6人の子供がいます。
6人の子供がいるという事は妻は家庭的で優しい女性であるという事を描いています。
カーンズも学者として研究熱心な人で、妻と雨降りに車に乗っていて思いつき、それまでとは異なったワイパー発明します。
それを友人に頼んでビッグスリーに売り込みにいきます。
商談成立間違いなしという段階になって話は破断となります。
特許裁判は時間が掛り自分のものであるという証明が難しいことをよいことに、カーンズの特許を無視してビッグスリーが自社の車に搭載します。
1969年以降はカーンズの発明したワイパー一辺倒になります。
約束が違うそのワイパーは自分が考案したものだと談判に行きますが、取り上げてくれません。
そこで仕事もなげうって闘争に明け暮れます。教授の仕事も辞め闘争に没頭したことによって家計は苦しくなります。ある時にフォードの代理人という人が来て、50万ドルで示談しようと家を訪れます。50万ドルというと一躍億万長者です。妻は家計も苦しいので示談に応じてくれるように夫に頼みますが、示談の条件は自分の発明であるという事を伏せたままでという事ですからカーンズは承知しません。
妻はこれまでは協力してやってきたけれどもこれ以上は堪えられないと言って家をでます。
それでもカーンズはあきらめないで裁判に持っていきます。裁判は弁護士を雇うお金がないのと専門的なことは自分でしか分からないから弁護士を雇わずに長男に手伝ってもらって自身で裁判に臨みます。
子供たちも家族や家庭のことを顧みらずに闘争に明け暮れる父親を嫌っていたのですが、大きくなって父の正当性を理解して全員が父親に協力します。
 もちろん最後の審判の時には妻も駆けつけます。判決はカーンズの勝利です。フォードは1億101万ドル支払うことで決着します。おめでとうと子供たちや友人知人たちではしゃいでいる最中に妻はその場から去ります。
 カーンズは追いかけて行きます。闘争を始めてから12年間掛かったそうです。その間妻はほったらかしのまま、妻はその間随分と苦労もし寂しい思いもしています。その過ぎ去った時間は帰ってきません。
 フォードは決着ついたけれどもまだ闘争は残っています。裁判によって莫大なお金を得ましたが人生はお金だけではない、もっと大切なものがある。この人はこの後も恐らく闘争を続けるだろうから同じことの繰り返しになるだけ。妻は「貴方は今後も闘争を続けるでしょうね」と夫に言うと夫は「Yes]と答えます。「そうでしょうね」と言って妻は去った行きます。カーンズの闘争の始末を描きながら一番言いたかったことは最後の妻が去るところです。一番大切なのは何か、そこを描いた監督に乾杯です。