お経は哲学


水上勉先生は「良寛」の本の中で色即是空が仏教の基本だと書かれています。
仏説摩訶般若波羅蜜多心経(ぶっせつまかはんにゃはらみつたしんぎょう)


仏説=仏の説いた
摩訶=大きい、立派な
般若=仏の智慧という意味 智慧というのは直ぐに実行に写す深い智慧ということ
波羅蜜多=仏の国にいく  彼岸に行くという意味
心経=仏の教えということ、仏の教えの中でも最も中心的なものということで心の字を加えてある


般若心経の中には色不異空 空不異色 色即是空 空即是色受想行識亦復如是という一説があります

色不異空=しきふいくう=しきはくうとことならない
空不異色=くうふいしき=くうはしきとことならない
色即是空=しきそくぜくう=しきはすなわちこれくうである
空即是色=くうそくぜしき=くうはすなわちこれしきである
受想行識亦復如是=じゅうそうぎょうしきやくぶにょうぜ=受想行識 亦復(また)これの如し

受想行識は色受想行識の五蘊(ごうん)のことです。
五蘊=人間や人間を取り巻く世界を構成している五つの力、作用のこと。蘊(うん)はあつまる。

色蘊=この世で目にする物質のこと。物には色があり形がありますので色は顕色(けんじき)形は形色(ぎょうしき)といいます。両方合わせて色蘊です。

受蘊=物を見たときに「きれいだなぁー」と受けとめます。これを受の作用、受蘊といいいます。
想蘊=受け止めてものを頭の中に伝達します。伝達してきたものをいろいろと想います。
行蘊=想い思念しますと次に実行に移します。
識蘊=行動に移しますと次は自分は今こうしたのだという認識作用が起きます。これが識蘊です。

例えば、道端に花が咲いているとします。花は色です。

その色を見て花だとうけとめます。
次に赤く小さくて可憐な花だなぁーなどと様々に想います。そして次にその花に対してどう対応するかという行動にうつします。
そして最後にはこの花は綺麗だから摘んで持ち帰って家に飾るのだという自分の行なったことを認識します。
人間は色受想行識の五つの力によってさまざまに行動して生活をしています。