柿は万物をかき集めるということで昔から喜ばれています。
お正月に鏡餅の上の昆布を引いて柿を置くのはそういうことから来ているのかもしれません。
カキノキ(柿の木)とはカキノキ科の落葉樹です。東アジアの固有種で、特に長江流域に自生している。
 熟した果実は食用とされ、幹は家具材として用いられる。葉は茶の代わりとして加工され飲まれることがある。果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられ。現在では世界中の温暖な地域(渋柿は寒冷地)で果樹として栽培されている。

 木になった柿の実をすべて収穫せず、そのまま残しておく数個の柿の実をよく見かけます。あの風景を見ると何とも言えない郷愁に誘われます。

木守柿 母のもんぺを 思い出す(着付け名人)

 全て収穫されずに残された柿は「こもりがき」「きもりがき」「こまもりがき」「きまもりがき」と言われます。
その風習は来年の豊作への祈願であるとも、また野鳥のために残しておくともいわれています。
ユズについても同じような風習があるそうです。

「柿が赤くなると医者が青くなる」と言うことわざがあります。それは豊富なビタミン類とミネラルが栄養価摂取の低い時代では医者いらずの万能薬として重宝されたからです。

柿渋は紙に塗ると耐水性を持たせることができますので、着物を染める時の型紙や和傘や団扇の紙に塗られました。柿渋の塗られた紙を渋紙と呼びます。
また、塗料としても用いられた。石鹸の原料ともなります(柿渋石鹸)。

柿の季語は”秋(晩秋)”であり、多くの人物に詠まれています。
その代表的なものは正岡子規の「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」です。