仏教から来た言葉「衣鉢を継ぐ」


    山法師

 衣鉢(いはつ)は僧の衣と托鉢などの時に持つ食器のことです。
 弟子が師匠から、その道の奥義や教えを受け継ぎ、後継者として認められることを言います。
また事業や業績を継ぐ時にも使われます。
 衣鉢とは、仏教では「三衣一鉢」(さんねいつばつ)のことで、日常作業用、礼拝、聴講用、托鉢などの外出用の三種の衣と、托鉢に使う一つの鉢を意味しています。
釈迦の時代の修行僧にとって、所有を許されるものはこの三衣一鉢だけです。
これが全財産であり、世俗を離れた僧の象徴でもありました。
そこで衣鉢を弟子に譲ることが、その人を自分の教えを伝える者として認めるという意味になりました。
それが仏教以外でも使われるようになったものです。