頑固者は損


きものを着た時に美しく見えるようにするにはベースとなる体形補正が重要です。
洋服のイブニングやカクテルというフォーマルは曲線美を表現する衣服ですが、きものは逆に直線のシルエットと色柄の美しさを見せる衣服です。
きものの場合は凹凸を見せますと美しく見えません。
私肥えているのでと言われる方でも窪みが必ずあって、そのままでは美しく見えませんので体形補正をしなければいけません。
体形補正は大変重要な働きをしますので、ウエストはワンタッチで巻きつけれる大変優れ物の補正具を考案して用意をしています。
それを使用すれば着ていて楽で、そして美しく、その上着崩れない着付が出来るのですが、それを奨めますと売りつけるために来ていると思われてしまうので、バスタオルやフエースタオルで代用しています。
「補正をしますのでタオルを出してください」とお願いしますと大抵の人は出してくれますが、中にはバスタオルなどを巻きますと肥えて見えるので嫌だと言う人がいます。
そう感じるのも無理はありませんが、補正をすることによってスマートに見えるのです。
 プロにも色々ありますが、私は着付人生48年です。芸能界で色々な役作りの手助けをして着付けに携わってきています。「こんにちは」と訪問をして当人を見た瞬間に、この人はこのように補正してあげなければいけないという事がわかります。
 私はプロですからどんな条件でも着せますが、依頼を受けた限りは消化すればいいというのではなくいい仕事をしたいわけです。そのために補正は大切ですからタオルを出してくださいとお願いをするわけです。
それでも「肥えて見えるから嫌だ」「あなた方はお客の言う通りに着せてくれればいいのだ」と頑として受け入れない人がいます。
そういう時は「私がこのまま帰ったらお宅は困るでしょう。ですから今日は着せて帰りますが二度と依頼しないでくれ」と言ってさっさと着せて帰ってきます。
プロを舐めるな。同時に携わっている者はプロらしい仕事をせい。プロらしい仕事をしない人が多いからお客さん達は信頼しきれないで様々に注文するのです。