お多福山


芦屋からロックガーデンの岩場を登り、お多福山から七曲を経て頂上の一軒茶屋の頂上に至る。
標高は931mで一軒茶屋があるところが最頂です。
この一軒茶屋は裏六甲に有る有馬の町に新鮮な魚を届ける魚屋道(ととやみち)の休憩所として作られたもので、今でも有馬まで下っていく登山者の休憩所として使われています。
 六甲には魚屋道以外にも石切道というのがあるそうで、六甲の花崗岩を切り出して運ぶ道です。
石屋川はそれに由来する名称で、その花崗岩を御影の港から運び出しましたので御影石という名称があるそうです。
 山は昔は信仰が対象で登られたそうですが、六甲山はそういう信仰に関係なく登られるようになった山で登山発祥の地と言われているそうです。

 私も学生の頃はロックガーデンから一軒茶屋、そして有馬に抜ける、六甲山では一番険しいルートだと言われているコースを何度か登りました。
 ロックガーデンを登って比較的平坦な道を行き、もう一度登りますとお多福山です。
そこはこの季節には薄で覆われた素晴らしいロケーションの山でした。
 その薄が一杯の素晴らしい光景を見せてあげたいと思い、妻と妻の次女を誘い薄を見に行こうと芦屋の奥池から登りました。
 奥池からお多福山までは距離は1kmくらいですが、けもの道のように細い急坂の険しい道でした。
 次女は今6か月の産婦ですから大丈夫かと気遣いましたが、ゴルフのインストラクターをしていてコースを回っているだけに一番元気でした。
 30〜40分で頂上に着いたのですが、一面が薄で覆われている筈のロケーションが見られません。
 大勢の人が何か作業をしておられましたので尋ねました。
「若い時にお多福山は薄に覆われていて大変綺麗で、それを何十年振りかで見に来たのですが、この辺ではなかったですか」と聞きました。
 この辺りですが、ご覧のように長年の間に竹笹に浸食されて薄は亡くなってしまったのです。
いま私達は其れを復元しようと作業をしているところですということでした。
 そういえば曽爾高原では良い状態を残そうということで立ち入り禁止区域を設けて係りの人達が雑草を取り除いたりの作業を始終しているということでした。
山も優しい人の手が入らないと一変してしまうものだということを勉強しました。