人生は登り坂(No19)


5年生からはクラブ活動が週一であります。
どのクラブに入るかを申告しなければいけません。私は田舎育ちで何にもわかりません。
隣の席の八田は珠算クラブに入るといいました。そいつは私が転校してきた時から優しくしてくれていましたので、自分も珠算クラブに入ろうと決めました。申告用紙に記入してからそのクラスメイトの用紙を見ますと、野球部と書いています。私はそれまでに一度も野球をやったことがないのですが、そいつと一緒のところに入りたいために慌てて野球部と書き直しました。
尼崎は今でも阪神フアンの多い土地です。私は田舎育ちで知りませんでしたが、その当時の男の子の遊びは野球が一番という土地柄でした。
土地柄とやや大げさに言いましたが、高石では野球なんかしている子供は一人もいませんでした。恐らく甲子園が近いことが大きく影響していたのだと思います。
尼崎では男の子の遊びは野球一辺倒と言っても過言ではありませんでしたので、野球部への入部希望者が多かったので入部テストがありました。
顧問の先生が5本ノックした球を捕球して、球を素早く返球する。もう一つは遠投です。
野球は全く初めてで、マイグローブを持っていませんでした。野球部にはキャッチャーミットとファーストミットは特殊ですから学校で備品として備えていましたので、そのグローブを借りてテストを受けました。
今でも忘れはしません。5本のノックの内3本はライナーでした。4〜5歩動けば捕れるものでした。
1本はボテボテのゴロでした。1本はイージフライというやつでした。少しバックをすればなんなく捕れるものでした。
5本ともキャチできてスローイングもばっちりでした。
遠投は海に行って石ころをいかに遠くに投げるかを競ってよく遊んでいましたので、遠投も難なくこなせました。
初めて使用したグローブでしたが、手が大きくなるだけですから、これも旨く使いこなすことができました。
テストが終わってその場で入部合格が発表されました。私が合格してその友は不合格でした。
私は自分で望んで受けたテストでもないし、野球の面白さも知りませんのであまりうれしくはありませんでした。
それよりも野球部に入れば最低グローブとバットは必要です。そして運動靴もです。