絹について


絹は中国では紀元前2000年の殷の時代から用いられていました。
中国では絹織物のことを錦(にしき)と言います。
帛(はく)は絹のことで金=帛で、絹はお金と同じぐらいに尊いものでした。貴重なものですから国外への持ち出しは禁止していたのですが、坊主などの手によってシルクロードを経てイタリア、フランスに持ち出されて西欧においても絹織物が発達しました。
 日本でも絹の伝来は早くて垂仁天皇(紀元前28年)には任那の国王に赤絹百疋を持参させたと日本書紀にあります。
 麻のように茎の繊維から糸にすることを績(う)むと言います。木綿のように綿状のものを糸にするのを紡績といいます。絹は繭玉から直接に糸を繰り出しますので製糸と言います。
・繭玉の周期
(1)卵から
(2)毛蚕(けご)になり、眠期と齢期を四回繰り返しま
   す。その期間は25〜30日で五齢期に入って繭をつく
   ります。
(3)繭が完成するとその中で幼虫期最後の脱皮をして蛹
  (さなぎ)になります。
(4)その後12〜13日で蛾(が)に変態します。蛾になる
   と口から体液を出して繭層の一部を溶かして外に出
   てきます
(5)外に出てくると交尾して卵を産み一週間後に短い生
   涯を終えます

(3)の蛹が蛾になる前に殺蛹(さつよう)して乾繭(かんけん)といって繭を乾燥させて貯蔵します。
糸を製する時は繭を煮ながら糸を繰り出します。一つの繭から取れる糸の太さは2.5〜3.5デニールという細いものです。糸の長さは1200m前後の長さがあります。
 白生地などを織る時には大変長い状態で織りあげて、反物(12m),四丈物(16m)、疋物というようにカットして商品にします。
 一つの繭から取れる糸の太さは細いので五個、七個、九個の繭から一本の糸を作ります。作られた糸が生糸です。専門的には15中、21中などと言います。中というのは糸の太さのことで、一つの繭の糸の太さは約3デニールですから21中は七個の繭から一本の生糸にしたという意味です。