喪服の襦袢と礼装の襦袢

 文様の意味合いは江戸時代の中ごろまでは季節感と吉祥でした。
季節感は季節の花卉を愛でるというよりも大自然の偉大なる力にあやかるという信仰的意味合いが強かったのです。
そのことで分かるように文様は大自然の一要素ですから全ては吉祥です。
したがって喪服等の時は文様のない無地の羽二重か庶民は縮緬を用いました。
婚礼の白無垢などの裂地は地模様のあるものを用いました。これは襦袢も同じで礼装の時は地文様のある白色の襦袢を用いて、喪服の時は無地の白色の襦袢を着ていました。
そうすることが礼儀作法なのです。

最近は留袖の時も喪服の時も色は白色という約束になっていますので、色目はよく目立ちますので色だけは約束事を守っておられますが、地模様に付いては無視をして吉凶どちらも綸子の地模様のある襦袢を使用される人がほとんどになっています。
これは無視をするというよりも、無地のものと地模様のあるものとの意味合いをご存じでないからだと思います。
文様は大自然の一現象ですから全てお目出度いものですから、凶事の時は使いません、
草履もお目出度い時は錦の織物ですが、喪服の時は無文のものです。
いまだに縁起を担ぐ人や礼儀を重んじる人が少なくありませんが、そういうことをきちっと守ってこそ礼儀に適っているということを忘れてはいけないと思います。

HP http://kitukemeijin.jp