映画「おとうと」


 吉永小百合が演じる姉と鶴瓶が演じる弟役の兄弟愛を描いた作品でした。
弟は兄弟に迷惑をかけるばかりで、愛想を尽かした長男は兄弟の縁を切ります。
しかし姉は姉弟の情愛を断ち切れずに面倒を見続けます。
 世の中は広く人も大勢いますが親兄弟という血の濃い血縁者は10本の指で数えれる程度しかいません。ほんの一握りしかいない肉親同士なのですから仲良くしていかなければいけないでしょう。
 世の中で一番大切なのは人間関係です。その人間関係の原点は親兄弟でしょう。それも仲良くやっていけない優しさの無い人は、自己の人生を豊かに出来る筈がありません。
 そういう観点から肉親の情愛を大切にしなければいけないのですが、それが出来ずに家族愛がバラバラになってしまっている人も少なくありません。そういう世情に対して吉永小百合の姉役が優しさを見せる。山田洋二監督のヒューマニズムでしょう。

 
 鶴瓶の演じる弟は末期癌になって養護施設に拾われてそこでみんなに看取られて死んでいきます。
最近は路上生活者を住まわせて、生活保護を受けさせて多額の手数料を取るというビジネス化されたものがありますが、映画に出てくる施設は生活保護費によって面倒を見るというのは同じですが、それによってお金儲けをするというようなことはなく、世話をする施設のスタッフは献身的に面倒を見てみんな明るいのです。
 この場面も山田洋二監督のヒューマンですね。
がめつくお金を儲けをを考えないで皆が優しい心で助け合えば、明るく楽しく生活していく事は可能ではないか。そういうことを訴えておられるのです。
 生きていくにはお金よりも人が大事。皆が優しい心を持てばどうにでもなるのではないかと教えられている映画でした。
 
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